一気通貫 2020 5 23
「ストレスマネジメント」
私が育った環境は、田んぼの中にある農家でした。
カッコウが鳴き、自然の調和が支配する世界でしたが、
騒音と言えば、水田にいるカエルの大合唱ぐらいでした。
高校は、ひたすら広大な田んぼの中を自転車で通っていました。
しかし、東京の大学に合格して、遠距離通学をするようになると、
静かに心身に異変が進行していったのです。
遠距離通学でも疲れるのに、
東京へ近づけば近づくほど、電車の中は大混雑して、
さらに、人工的な騒音が耳に刺さるような感じでした。
私は、いつしか先輩から教えてもらった麻雀に夢中になりました。
麻雀という勝負に夢中になったのではなく、
仲の良い4人で麻雀卓を囲むと、そこは別世界だったのです。
都会の喧騒を離れて、静寂が支配する世界だったのです。
友人が「混一色」でポンを繰り返して場を食い散らかし、
あるいは、「リーチ・ドラ1」で急ぐ中で、
私は、「一気通貫」という役作りに夢中になったのです。
とりわけ、「ソーズ」の「一気通貫」が好きでした。
見た目が美しいのです。
そして、緑色が多くなるのです。
だから、私は勝負師ではなかったのです。
「一気通貫」は難易度が高いのに、点数が低いのです。
ただただ、ストレス解消のためだったと思います。
友人たちとの合宿旅行でも、
現地に着くと、観光もしないで、
すぐに安宿のテーブルで麻雀を始めました。
「俺は、いったい何をやっているのだろう」
そう思うまでに何年かかったことか。
「一日は、24枚の金貨でできている」という友人のアドバイスが、
はるか遠くで聞こえる「音」のようでした。
田んぼの中にある大学に通えば、
違った学生生活があったかもしれません。
しかし、麻雀を通して得られた教訓もあります。
「晴れる日もあれば、雨の日もある」
麻雀の場合は、将棋と違って、
初心者でも、上級者に勝つことができるのです。
配られた牌がよければ、初心者でも勝ちます。
逆に、配られた牌が悪ければ、上級者でも勝つことはできないのです。
「配牌」が悪いことが長く続くことがあります。
そんな時に、無理に勝とうとすると「大けが」があります。
みんなが「上がり」を目指しているのに、
自分だけ勝負には参加せず、ひたすら耐える。
ひたすら「運の流れ」が好転するまで待つ。
これは、人生も経営も同じでしょう。
どんなに努力しても、結果は悪いものになる。
やればやるほど、泥沼の中に入り込んでいく。
無理に勝負を続ければ、深みにはまっていく。
いったん深呼吸して、一息入れれば、周りが見えてくる。
「人生晴れる日もあれば、曇りの日もある。
雨がやってきて、嵐にもなる。
そんな時、木々は、ひたすら耐える。
天に突き刺さる大樹であればあるほど、
嵐に耐えた回数は多くなる」